三浦市議会基本条例

三浦市議会基本条例

目次

前文
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 市民と議会(第3条)
第3章 議会活動及び議員活動(第4条-第9条)
第4章 議会と行政(第10条-第12条)
第5章 議会及び議会事務局の体制整備(第13条-第16条)
第6章 条例の見直し、検討等(第17条)
附則

 地方分権の時代を迎え、地方自治体には、自立が求められるとともに、住民福祉の向上、地域社会の活性化などの取組において、今まで以上に重要な役割が課せられています。

 地方自治体が真の自立を実現し、その役割・責任を果たすためには、日本国憲法に基づく二元代表制の下で市民から負託を受けた議会の役割は、極めて重要です。議会は、市民の多様な意思を代表して議論し、政策立案をするとともに、市長等に対する監視機能としての役割を果たさなければなりません。

 そのために三浦市議会は、市民の皆さんの権利を尊重し、市民の皆さんから意見を聴き、市民の皆さんと一緒に考え、市民の皆さんがより理解し、協働・参加できる、市民の皆さんから信頼される議会、すなわち「市民に開かれた、市民のための議会」を目指し、不断の努力を重ねることを決意しました。

 また、議会には今まで以上に監視、調査、政策立案、立法の機能強化や将来を見据えながらの議員間における議論が求められるとともに、議員の資質の向上に努めなければならないことを強く認識するところです。

 以上の理念及び認識を実現し、達成するために、三浦市議会における最高規範として、ここに三浦市議会基本条例を制定するものです。

第1章 総則

(目的)
第1条 この条例は、二元代表制の下、市民と議会との関係及び議会と行政との関係並びに議会に関する基本的事項を定めることにより、「市民に開かれた、市民のための議会」を実現するとともに、市民の負託に応え、市民が安心して生活できる豊かなまちづくりの実現に寄与することを目的とする。

(最高規範性)
第2条 この条例は、議会の最高規範的地位を有し、議会に関する他の条例又は規則、規程その他の議会の告示(以下「議会関係条例等」という。)の制定又は改廃を行うときは、この条例の趣旨にのっとり、この条例に定める事項との整合を図らなければならない。

第2章 市民と議会

(情報の公開と市民参加)
第3条 議会は、議会の会議、委員会等の諸活動(以下「議会活動」という。)に関する情報を積極的に市民に公開し、透明性を高めるとともに、市民に対する説明責任を果たさなければならない。

2 議会は、議決における議員各自の表決態度について、議会が発行する広報紙及びウェブサイトで公表するものとする。

3 議会は、市民の議会活動に対する関心を高め、理解を得るために、分かりやすい議会運営に努めなければならない。

4 議会は、会議及び委員会の運営に当たり、必要に応じて公聴会制度及び参考人制度を活用し、市民の識見等を反映させるものとする。

5 議会は、請願及び陳情を市民による幅広い提案や意見と受け止めるとともに、その審査においては提出者の意見を聴く機会を設けるものとする。

6 議会は、全議員による市民に対する議会報告会を開催することにより、議会活動に関する情報を直接市民に提供し、説明責任を果たすとともに、市政全般に関する課題について市民と意見を交換し、市民からの政策の提言を受け、議会活動に反映させるものとする。

第3章 議会活動及び議員活動

(議会の活動原則)
第4条 議会は、「市民に開かれた、市民のための議会」を目指すため、市民を代表する議事機関であることを常に自覚するとともに、公平性、透明性及び信頼性を重視して、政策の立案や意思の決定、市政運営の監視及び評価等をしなければならない。

2 議会は、重要な行政課題等について議員が自由に意見交換し、相互に理解し、及び一致点を見出す場として政策討論会を開催することができるものとする。

3 議会は、言論の府であること及び合議制の機関であることを十分認識し、委員会の審査においては、議員間の討議を通して、合意形成に努めるものとする。この場合において、議員間の討議は、委員長が必要と判断したときに行うものとし、委員長は、議員相互の討議が一定の秩序をもって行われるよう、委員会を運営するものとする。

4 委員会は、社会情勢等により新たに生ずる行政課題等に迅速かつ的確に対応するため、委員会の専門性と特性を活かした審査を行うよう努めるものとする。

5 委員会は、有識者との懇談会を開催し、議会活動に反映及び活用をすることができるものとする。

6 議会は、共通する課題についての調査研究等を行うため、他の地方自治体の議会との交流及び連携の推進に努めるものとする。

(議員の活動原則)
第5条 議員は、市民の代表であり、負託を受けた立場を自覚し、安心・安全で豊かな市民生活の構築に寄与しなければならない。

2 議員は、調査、研究及び視察を不断に行い、自己の能力を高めるよう努めるとともに、積極的に政策の提案を行うものとする。

3 議員は、議会活動を行うため、政策を共有する議員で構成し、及び活動する会派(以下「会派」という。)を結成することができるものとする。

4 会派は、議会活動に関し、必要に応じて会派間で調整を行い、合意形成に努めるものとする。

(議員の政治倫理)
第6条 議員は、市民の代表者として高い倫理性が求められていることを深く自覚し、人格及び倫理の向上に努めるとともに行動しなければならない。

(議員定数に関する基本的な考え方)
第7条 議会は、議員定数の改正に当たっては、市民からの負託に応え得る人数を基本として、市政の現状及び将来の予測を考慮した上で決定するよう努めるものとする。

(議員報酬に関する基本的な考え方)
第8条 議員は、議員報酬が市民からの負託に応えるための議員活動に対するものであることを深く認識しなければならない。

(議長の役割)
第9条 議長は、議会を代表し、中立かつ公正に職務を遂行するとともに、議場の秩序を保持し、議事を整理する等、会議の円滑な運営及び進行に努めるものとする。

2 議長は、会派間の連絡又は調整の場として、各会派の代表者で構成する各派代表者会議を開催するものとする。

3 議長は、広く議員から意見を求める等、必要があると認めるときは、全議員により構成する全員協議会を開催するものとする。

第4章 議会と行政

(議会と市長等の関係等)
第10条 議会の審議は、二元代表制の下に行われることを踏まえ、常に議員と市長その他の執行機関及びその補助機関( 以下「市長等」という。) との緊張関係の保持の下で行われなければならない。

2 会議における質疑及び質問は、広く市政上の論点及び争点を明確にするために、対面による一問一答の方式により行うことができるものとする。

3 市長は、議員の質問に対し、議長の許可を得て反問することができるものとする。

4 議会は、市長等が提案する政策、計画、施策、事業等( 以下「政策等」という。) の進捗状況、政策課題に係る市内の状況等を把握するため、市長等に対し、必要な資料の提供を求めることができるものとする。この場合において、市長等は、速やかに対応するよう努めるものとする。

(条例による議決事件)
第11条 議会と市長等が共に市民に対する責任を果たし、計画性及び透明性の高い市政運営に資するため、市長は、市の政策及び施策の基本的な方向を定める構想、計画、指針その他これらに類するものを策定し、又は変更する(基本的な事項に係る部分に限る。) に当たっては、地方自治法(昭和22年法律第67号)第96条第2項の規定に基づき議会の議決を経るものとする。ただし、市長等の内部管理に係る構想等については、この限りでない。

(市長等による政策形成過程の説明等)
第12条 議会は、市長等が提案する政策等について、その精度をより高めるとともに市民の理解を得るため、市長等に対し、次に掲げる事項について説明に努めるよう求めるものとする。

(1)政策等の策定を必要とする背景
(2)政策等の提案に至るまでの経緯
(3)政策等の形成過程における市民参加手続の状況
(4)地域における総合的かつ計画的な行政の運営を図るための基本構想及び基本計画を策定した場合における当該基本構想及び基本計画との整合性
(5)政策等に係る将来に対する展望と影響
(6)政策等の執行に要する財源措置

2 議会は、前項の市長等から提案された政策等を審議するに当たっては、その形成過程及び執行過程における課題等を明らかにし、その執行後に行われる政策評価に資するよう努めるものとする。

3 議会は、予算を定める議案及び決算の認定を求める議案を審議するに当たっては、市長等に対し、当該議案に係る分かりやすい説明資料の作成とその提供に努めるよう求めるものとする。

第5章 議会及び議会事務局の体制整備

(議員研修)
第13条 議会は、議員の政策形成及び政策立案能力の向上を図るため、議員研修の充実強化に努めるものとする。

(議会図書室の機能強化)
第14条 議会は、議員の調査研究並びに政策の立案及び提言に係る能力の向上に資するため、議会図書室の機能の強化に努めるものとする。

2 議会図書室は、その目的を妨げない範囲内において、市民等の利用に供することができるものとする。

(議会事務局の機能強化)
第15条 議会は、議会の市政を監視し、及び調査する機能の強化並びに議員の政策の立案及び提言に係る能力の向上に資するため、議会事務局の機能の強化に努めるものとする。

(議会広報の充実)
第16条 議会は、議会活動に関する情報、議案等の審議の経過及び結果並びに一般質問の内容等について、議会が発行する広報紙及びウェブサイトで市民に公表し、及び提供することに努めるものとする。

2 議会は、市民の議会と市政に対する関心をより高めるため、情報通信技術の発達に伴う多様な広報手段を活用し、議会活動の広報の充実に努めるものとする。

第6章 条例の見直し、検討等

(条例の見直し等)
第17条 議会は、不断にこの条例の目的が達成されているかどうかを議会運営委員会において検証するものとする。

2 議会は、前項の検証の結果、この条例及び議会関係条例等の改正が必要と認められる場合は、適切な措置を講ずるものとする。

3 議会は、この条例を改正する場合には、全議員の賛同する改正案であっても、本会議において、改正の理由及び背景を詳しく説明しなければならない。

4 議会は、この条例の理念を浸透させ、この条例を遵守した議会活動を行うため、議員に係る一般選挙及び補欠選挙後において、速やかにこの条例の理念及び規定内容の確認を行う機会を設けるものとする。

附 則

この条例は、平成26年4月1日から施行する。